山内悠 /Yu Yamauchi 写真展「残像 Ⅳ」

山内悠 /Yu Yamauchi 写真展「残像 Ⅳ」

2024年7月10日(水)~8月10日(土) 16:00 – 22:00
定休日:日・月・火
*1ドリンク制

<作家在廊日>
7月10日(水)、8月9日(金)

スタジオ35分
東京都中野区上高田5-47-8


写真家・山内悠が20年に及ぶ撮影期間の中で現像やプリントをする中で時々出会う撮影した記憶にない写真たち。

それらを鑑賞者によってセレクトしてもらい作品化をするという実験的な試みです。 会場ではLサイズの写真を¥1,000で販売いたします。購入されたイメージは選ばれた「残像」として今後の作品に反映されていきます。

つまり写真家自身は作品セレクトを行わず、他者によって選ばれた写真によって出来上がってくる作品になります。 山内悠の無意識下で生まれた写真を通して、内なるものと外なるものから紡ぎだされてゆく写真世界をご高覧ください。
本展示は4回目の「残像」展になります。前回3回目の展示にて選ばれた作品を展示します。



ここに並んでいる写真たちは
僕がこの20年近くの間で撮影した中で、記憶や時間を辿る事の出来ないイメージになります。

いつ、撮ったのか。
いつ、何処で、撮ったのか。
いつ、何処で、何を、撮ったのか、わからない。

さらにフィルムが水浸しになり像が消えたり、現像中のミスによりシミがついたりしている写真は、もはや撮影した被写体ではなく、その後の物理的な行為、時間の情報が前面に成り立ってしまう。

僕は確かに写っているイメージの前に立ち、シャッターを切り、物質化しようとした。
その経緯、痕跡としてこれら写真は、いま此処に在るのだが、まるで記憶に無いのだ。

これはもはや、誰のものでもない。
ただ、モノとして、今、此処にある写真たち。

いま、僕はこれらを選び、紡ぎ、現れる世界を見ようとする。
それは時間や意識を超えた無意識の階層を1段づつ降りていき、目の前に現れた幾つもの扉を開けるような行為に思う。

この展示のカタチはその扉の一つを開けただけに過ぎない。
そして、この無数の写真を多くの人と共有し、様々な扉の一つを共に探したい。
皆さまには、気になる写真を選んでいただきたい。

僕たちは、魂の記憶にまでそれは及ぶこれまでの長い時間の中で培ってきた、内在する想像や記憶、意識にある表象の世界に生きているのではないか。
その自らの意識の伸縮が、すべてを光にも闇にも成し得てしまうように。
僕はずっと外に向けて問いかけてきたが、いま、意識から外れた所に存在するこの写真たちを改めて収集し、自らの内なる深い彼方を見ようとする。

そして、もし他者が、僕のこのイメージに触れた時に何かしらの感触が産まれるならば、それはそれぞれの個をも超えた大きな場所の存在を知る事にもなり、そこに触れることが出来るような気がするのだ。



山内 悠

1977 年、兵庫県生まれ。自然の中に長期間滞在し、作品制作を行ってきた。14歳の時に独学で写真をはじめ、スタジオアシスタントを経て制作活動を本格化。
富士山七合目にある山小屋に600日間滞在し雲上の世界を撮り続けた『夜明け』(赤々舎)を 2010 年に発表。2014 年には、その滞在していた山小屋の主人に焦点をあて、山での日々を記した書籍『雲の上に住む人』(静山社)を刊行。
2020 年には、5 年をかけてモンゴル全土を巡る時空の旅で制作した『惑星』(青幻舎)を発表した。 そして2023年、屋久島に9年通い単身で森の中で1ヶ月近く過ごしながら自然との距離感を探り続けた作品「自然 JINEN」(青幻舎)を発表する。長野県茅野市を拠点に国内外で展覧会を開催し続けている。
https://www.yuyamauchi.com/